この世界の片隅に あっというまの126分、そして見終わったあとの不思議な余韻


【45 うち試写会11】試写会3連発の3作目、これも試写会だからこそ鑑賞できた作品だったかも知れない。

 1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。


 こうの史代のコミック(この世界の片隅に(アクションコミックス))をアニメ化したドラマ、戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛けるという作品。
のんびり屋でちょっと天然な主人公すずを中心とした日常に、刻一刻と近づく昭和20年の夏。
悲惨な戦争を経験した日本、悲しい時代ではあったものの、その頃生きていた日本人たちは、その状況下においても笑いながら元気に普通に暮らしていたのだということが心に染み、なんとも言え無い重みが。


 手描きの作画、風景描写も表現も非常に繊細、水彩画のような穏やかな色使いとタッチ、空襲や爆撃のシーンでも、独特の表現方法が使われていて、凄惨さはないが心に響く表現。
日常のなかに平然と悲劇が入り込む戦時下の特殊性と、食べたり、笑ったり、喧嘩したり、愛したりといった普遍的な営みが同居する。


 主人公すずの声優を担当したのん(能年玲奈改めのん)の演技がすばらしすぎた、彼女の声と演技が、すずを、他の登場人物を、この映画の描写を、ストーリーを、さらにさらに素晴らしいものに昇華させていた。
静かに迫る喪失の重みと、それでも生きていく力、終始登場人物と共に泣いたり笑ったりやるせなさを感じたり、あっというまの126分、そして見終わったあとの不思議な余韻。
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