利休にたずねよ 美の情景極めたり


【66うち今年の試写会8】今朝、強いサイドオンの風にやられてやはり波はぐちゃぐちゃ、幸薄そうなのでNo Surfin'。

 3,000もの兵に取り囲まれ、雨嵐の雷鳴が辺り一帯に響き渡る中、豊臣秀吉(大森南朋)の命によって切腹しようとする茶人・千利休(市川海老蔵)の姿があった。ついに覚悟を決めて刃を腹に突き立てようとする彼に、利休夫人の宗恩(中谷美紀)は「自分以外の思い人がいたのではないか?」という、かねてから夫に抱いていた疑念をぶつける。その言葉を受けた利休は、10代から今日に至るまでの波瀾万丈な道のりを思い出していく。

 秀吉はなぜ千利休のことをそうまで畏れたのか、そして利休は秀吉になぜそうまで頑なに与しようとしなかったのか…そんな歴史上の謎に、新解釈で切り込む作品だ。
山本兼一の原作「利休にたずねよ」はずいぶん前に読んだ。
美しさや侘び寂に関する造詣が浅すぎるし、想像力も貧弱であるために、自分として頭の中に描ききれなかった、この原作の美しき世界観を映像として見事に描いていくれていた。
光と影、音と静寂、時や季節の移り変わり、美術品、工芸品、建造物、自然とのハーモニー、そして洗練された所作など、描かれた情景は「日本映画の美しさ、ここに極めたり」と褒めたいくらいに綺麗だった。
そして市川海老蔵は、演じる年齢、状況ごとに、その所作に細かい変化を加えるなど、狂気にも似た利休の美への執着を、ほんとうに美しい演技で表現していた。


 この映画では、三井寺、大徳寺、神護寺、南禅寺、彦根城といった国宝級の建造物でロケされたそうで、利休が実際に使用した「長次郎作 黒樂茶碗 銘 万代屋黒利休所持 万代屋宗安伝来」をはじめとする茶の名器を数多く手配し使用、千利休より受け継がれる茶道の名門・三千家の協力も得て幻の「利休の所作」を再現することにもとことんこだわって…ということらしい。
こういった姿勢が、美に関するこの映画の圧倒的な完成度となったのだ。


 ただし残念だったのはお話しを盛り込みすぎてしまって掘り下げが足らなくなり、原作を読んでいないと辻褄が合わずに、ストーリーについて行けないであろうということ。
しかし一方で、無駄にしつこく描くシーンがいくつかあって(まるで韓流ドラマかのよな、高麗の美少女との絡みのシーンなんかまさにそれ)、そのバランスがどうしても納得がいかない。
もう少し観る者にわかりやすい構成はあっただろうに。

 しかし、「日本映画の美しさ、ここに極めたり」、それだけで鑑賞後の評価としては高得点を付けておきたい映画だった。
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コメント

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海老蔵さん

あけましておめでとう。
トラックバックがうまくできないので、コメントで。
「高麗の美少女との絡みのシーン」、私は「もっと見せて~」でした。
海老蔵贔屓には、たまらない映像です(^_^)
ちなみに、あの堺の海岸の波は、波素人の私が見ても、「堺の海の波ではないなー」と感じました。
今年もよろしくお願いします。

No title

若い頃のエピソードで利休が青、美女が赤と黄色の服を着てて「信号三原色かよ」。あんな目立つ服で逃げてるのになかなか見つからないのも不思議だ(赤と黄のチマ・チョゴリ女なんてどう隠しても目立つでしょ)。
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