ディーパンの闘い スリランカの内戦ってのは自分的にリアルやねん


【10 うち試写会3】最近ちょっと忙しすぎて、波乗りのこと以外、今日や昨日のネタをちゃんと日記として記事に出せなくて、けっきょく暇なときに書きためておいた記事を、旬が過ぎてから出している今日この頃、webrogが成り立っていない~(ToT)

 主人公は、内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士ディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人の職を手にする。日の差すうちは外で家族を装い、ひとつ屋根の下では他人に戻る日々。彼らがささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。戦いを捨てたディーパンだったが、愛のため、家族のために闘いの階段を昇ってゆく──。

 ジャック・オーディアール監督がメガホンを取って放つヒューマンドラマ、内戦中のスリランカからフランスにたどり着いた他人同士の3人が、偽装家族として見知らぬ土地で新しい第一歩を踏み出す姿を丁寧に描くという映画。
去年5月のカンヌ映画祭では、最高賞のパルムドールに輝いたということと、スリランカの内戦が絡んでいるという点で興味を持っていたが、なかなか上映時間が合わず、「縁なかったかな~」と思っていたが、ひょんなことから思いがけない時間が出来て、ようやく鑑賞できた。


 物語の背景になっているのは、移民政策の失敗が深刻な社会問題と化した欧州の今。
主人公であるディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターサンは、実際に16歳から3年間、タミル・イーラム解放の虎(LTTEIの少年兵として戦い、(タイを経由して)フランスに移住している。
昨年11月のパリ同時多発テロ事件以降、この映画の現実の混沌はさらに関心を持たれる事実となっていて、移民社会を描くのはフランス映画ではよくあるが、この映画ような描き方がある意味の新しいフランス映画の系譜となるのだろう。
偽装家族であるディーパンら(この名もすでに無くなった家族の名前を騙っている)は、管理人として職と住居を得たが、その郊外の団地は、移民の若者によるギャング団がのさばり、白昼堂々と銃撃戦が繰り広げられる無法地帯、暴力から逃れた先で暴力に苦悩するという皮肉が物語の拡であり、綺麗事では済まされない移民問題の現実。
家政婦となった偽装妻ヤリニが心を通わす密売組織のボスは名前からするとアルジェリア系の移民だし。

 少しネタバレになるかも知れないが、映画のクライマックスは、まるで任侠映画のよう。
とにかく展開の一貫性のなさがこの映画の特徴であり、奇しくもよい作品になった主因なのかも。
そしてラストのラストの場面は、現実とは思えない唐突さで、人によって解釈が分かれるであろうという思いっきり「謎」、自分でも未だに腑に落ちないようでいて、お腹に落ちるようでいて…。


 スリランカ内戦とは、1983年から2009年にかけて展開されたスリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラ (LTTE) による紛争であり、2009年5月、スリランカ政府軍がLTTE支配地域を制圧して、26年の長きにわたって5万人とも7万人とも言われている戦死者を出したスリランカの民族紛争は終結したというもの。
自分は、1991年にスリランカ南部のヒッカドゥアという街にサーフィンをしに行ったことがあるが、現地で仲良くなった地元のサーファーの若者たちもこの内戦に従軍した経験を持っていた。
またスリランカ東部で現在はサーフリゾートで人気を博すアルガンベは、当時、政府軍とタミル・イーラム解放のトラが拮抗している激戦地であって非常に危険な地であり、「いい波がある」という話しを聞き「もしそこで波乗りが出来たら日本人最初のサーファーとなれる」という話しも聞き、興味津々であったけど、みなから厳しく制止され行ってみることを断念したということもあり、この内戦は現地で間接的に体験したという実感がある。
そもそもは、対テロ戦争だというスリランカ政府の喧伝に世界は乗せられていたが、内戦が終わって、どうもシンハリ人政府によるタミル民族に対する虐待(虐殺も含む)に関するレジスタンスであって民主化運動だったのではないのだろうか、というのが自分の印象だ。
その背景を知っているだけに、自分には、思いが強い映画でもあった。
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