おみおくりの作法 静謐だが豊饒な世界が詰まった良作


【18 うち試写会2】右目、コンタクトを装着したら真っ赤っかに充血する症状が続いていたので、波乗りの時以外しばらくコンタクトを使っていなかったが、やっぱり不便なので昨日念のために眼科を受診してみた。
特段、目に傷や潰瘍なんかがあるわけでないがドライアイ気味だから、人工涙液型点眼剤を使いなさいと言われた。
だもんで本日より恐る恐るコンタクトレンズ復活…。

 公務員のジョン・メイ(エディ・マーサン)は、ロンドン南部ケニントン地区で亡くなった身寄りのない人々の葬儀を執り行う仕事をしている。いくらでも事務的に処理できる仕事だが、律儀な彼は常に死者に敬意を持って接し、亡くなった人々の身内を捜すなど力を尽くしていた。糸口が全て途切れたときに初めて葬儀を手配し、礼を尽くして彼らを見送ってきたが……。

 監督・脚本のウベルト・パゾリーニがガーディアン紙に掲載された「孤独死した人物の葬儀を行なう仕事」に関する記事から着想を得て、ロンドン市内の民生係に同行して実在の人物や出来事について取材を重ねた末に誕生した、心を込めて死者を弔う孤独な男の生きざまを描く作品。
原題は「STILL LIFE」(静物画)、きっと日本の配給元はこのタイトルでは伝わらんと思ったのか、しかしよりによって「おみおくりの作法」ってのはあかんやろう、自分はこのタイトルでうっかり観る気が失せていたし…。


 前半はジョン・メイの静かな日常と静かな仕事ぶりを描く、孤独死した者に対して過剰なまでに誠意をもつこと、孤独死した人以上に孤独な民生士の生活が、彼の行為に充分理由を与えている。
そして構図から色使いまで何もかも計算されつくした映像に加え、ジョン・メイ役のエディ・マーサンの感情を表に出さないストイックな演技がとても効いている、まさに静物画をみているかのようだ。


 しかし、彼は人員整理によって解雇されることとなり、ジョンの向かいのアパートの一室で孤独死したビリー・ストークの案件が最後の仕事となる後半からは、映像も、色遣いやアングルまで変わってくる。
近所でありながら言葉も交わしたことがないビリーの部屋を自室の窓越しに見つめる、ここからジョンのそんなまさに静物画のような静かな生活に、不意に波風が立ちはじめる、さらに、ジョン・メイのモノトーンの生活に、微かな色彩が入り込みはじめた…。

 91分という短い時間の中に、静謐だが豊饒な世界が詰まっていて、不思議な余韻に包まれる。
見終わってからはしばし呆然、しかしあとからじわ~っと泣けてくる、なぜ泣けたのかはしかしよくわからない、そんな映画だった。
この映画は、人によって評価がわかれるだろう、とくにあのラストシーンは…、でも自分にとってはすごくよかったんだが…(自分も最近不意な波風が去ったところだったからかも知れないが)。
邦題に惑わされずに観てよかった。
しみじみ考えされたが、けっきょく人生って誰のためのものなんだろう…。
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