紙の月 この映画って、宮沢りえの演技力なくして成立したか?


【52 うち試写会5】 バブルがはじけて間もない1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、上司や顧客から信頼されるようになる。一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまい……。

 銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、「八日目の蝉」の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説「紙の月」を映画化、監督は、「桐島、部活やめるってよ」(残念ながら見逃した)などの吉田大八、まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていくという作品。
この映画って、宮沢りえの演技力なくして成立したか?


 銀行の女子行員による巨額横領事件って、いろいろあるが、この原作のモデルになったってのは、滋賀銀行9億円横領事件(主犯奥村彰子・1973年)、足利銀行2億1千万円横領事件(主犯大村章子・1975年)、三和銀行1億8千万円横領事件(主犯伊藤素子・1983年)などがあるとネットで知ったが、自分的には逃亡の状況などから三和銀行の伊藤素子がすんなりイメージに合ったが、どうなんやろ。
ただ、これらの横領事件は、「男に貢がされた」というのが背景だが、この映画では「男に貢いだ」というところが決定的に違う。
その事実である銀行横領事件と、ノンフィクションであるこの映画の違いを、リアルな生活感を醸し出す宮沢りえの佇まいが十分すぎるほどの説得力を持ち、さらに、宮沢りえだから出せる妖婦ぶりが物語の厚みを醸し出す、やばい。


 その宮沢りえの演技に、燻し銀のような小林聡美の重みと、ベテラン女優のあいだで堂々と渡り合う大島優子のコメディエンヌぶりが的確に絡み、この映画を、ハードボイルドなサスペンスとして、完成度を高めていく。

 断片的に描かれてり、伏線となる主人公の少女時代の描写と、紙の月を指で消去する場面が、どちらも切なく美しく、この映画がただ単に、どう転んだって破滅にしか繋がらないという快楽を選んだ「闇への失踪」というネガティブな映画ではないってこと、むしろ光に向かっての逃亡劇を描いていたのかも、この映画って。
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