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ライドシェア解禁論を撃つ! 「ライドシェア導入に待った! ~解禁論の問題を斬る~」交通の安全と労働を考える市民会議

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―は、10月24日、衆議院第一議員会館で緊急院内集会「ライドシェア導入に待った!~解禁論の問題を斬る~」を開催し、100名以上が参加(オンライン参加者も多数)した。
集会は、市民会議事務局の山口広弁護士(東京共同法律事務所)の挨拶で開会し、「 ライドシェアの現状と問題」について浦田誠国際運輸労連政策部長、「ライドシェアの労働問題」について事務局の木下徹郎弁護士(日本労働弁護団常任幹事・東京共同法律事務所)、「ライドシェアは必須か?」について市民会議代表世話人である戸崎肇桜美林大学教授(交通政策・観光政策)がそれぞれ報告。
タクシー運転手の声、利用者の声としてスピーチをいただき、参加いただいた国会議員を紹介したのち、森屋隆参議院議員と辻元清美参議院議員からライドシェア問題について発言をいただいた。
質疑応答では会場からも意見を多数いただき、最後に代表世話人である内田聖子アジア太平洋資料センター事務局長が閉会挨拶をおこない終了した。
緊急院内集会の模様は「弁護士ドットコム ニュース」さんがわかりやすくまとめてくれていますのでご参照を⇒「ライドシェアは結局、儲かる都会に流れてくる」交通環境の悪化に懸念の声 都内で反対集会(2023年10月25日 14時47分配信)


 「ライドシェアの現状と問題」について報告した浦田誠さん(国際運輸労連政策部長)の当日配布資料を抜粋して、ここで共有しておく。

<1>ライドシェア解禁論を撃つ!
❌世界でライドシェアを導入していないのは日本だけだ

 ライドシェアは、欧州連合(EU)や韓国、台湾、トルコ、イスラエルなどですでに運行されておらず、OECD 諸国ではその約8 割となる。9 月23 日のNHK 報道も、「アメリカや中国など海外では、さまざまなスタイルで普及が進んでいる」と欧州には触れず。

❌タクシー不足だからライドシェアがあればいい
日本より先に「ポストコロナ」となった欧州などもタクシー不足を経験してきたが、その解決策としてライドシェアが(再)導入された国はあるのだろうか。米国ではコロナ禍で、ライドシェア運転手もタクシー運転手も激減した。

❌運賃はタクシーより安い
 赤字覚悟でタクシーより安い運賃を設定してきたため。略奪的価格設定(predatorypricing)と呼ばれる。同時に、需要と供給の変動で運賃は何倍にも跳ね上がる。要するに、運賃ダンピングと便乗値上げを繰り返すシステム。
 しかしまた、ここ数年はコロナ禍で激減した運転手を呼び戻すため、運賃を上げ続けている。タクシーより高い場合もあることは、フジTV のPRIME も報道。ニューヨーク市では2019 年2 月から2022 年4 月の間に5000 万回のライドシェア配車を調査したところ、運賃は平均で5 割も増していた。一方、運転手の収入は31%増に留まっていた。


❌呼べばすぐに来る
 それもそのはず。例えば、米ニューヨーク市ではタクシー台数が13500 台に規制されているが、ウーバー・リフト車両は8 万台。数の上でタクシーを圧倒する不公平なやり方はタクシー産業を崩壊の危機に追いやると同時に、交通渋滞を悪化させたり、公共交通の利用者離れを起こしている。ニューヨーク市では水揚げの激減を受け、ハイタク運転手8人がわずか1年の間に自殺した(2017~18 年)。
 また、ウーバー・リフトの登場により、同市のマンハッタン地区では60 丁目以南の走行速度が15%減。サンフランシスコでも、2010~2016 年の間に交通渋滞が60%悪化しており、その半分以上は、ライドシェア車両によるものとされる。ボストンでは約1000 人を調査した結果、42%が公共交通の代わりにウーバー・リフトを使うと回答(2018 年)。
 さらに、ライドシェアについて全米8都市で約4000 人を調査したところ、①4~6 割の乗車は、徒歩、自転車、公共交通でも出来た、②バス利用が6%・通勤電車利用が3%減った、③9%が自家用車を処分、④飲酒運転は減、⑤利用者はより裕福な層が主流 などの結果が出た(2017 年)。ケンタッキー大学の研究者が米22 都市で実施した調査によれば、ライドシェアが登場した都市では、鉄道・バスの利用者が年間それぞれ1.29%・1.7%減少する。数値は累積しており、サンフランシスコではこの8 年でバス利用者が12.7%減(2019 年)。
 ウーバー・リフトとも、ライドシェアの登場によって自動車による走行マイル数(VMT)が米国で増加していることを認めている。


❌評価制度で悪質な運転手は淘汰される
 それはあくまで問題が起きた後のこと。被害者を補償すれば済ませるものなのか。米サンディエゴでは、逮捕されるまでに34 件の婦女暴行事件を繰り返したウーバー運転手に懲役80 年の実刑判決が言い渡されている。性犯罪を名乗り出る被害者は2 割程度という統計にも留意すべき。また、仮に「悪い運転手」が淘汰されたとしても、新規の運転手が同じ性犯罪などを繰り返していることは、ウーバーの安全報告からも明らか。
 さらに、仮に悪質なライドシェア運転手がすべていなくなったとしても、ニセ運転手による、強盗、誘拐、性犯罪等の目的とした犯罪はやまないのではないか。一般車両を使うので、見分けがつきにくく、サウスカロライナ州などでは乗客が殺害される事件も起きている。在ロサンゼルス領事館や在ボストン領事館の「安全の手引き」では、ニセ運転手に注意するよう邦人に呼びかけている。

❌乗りたくない人は乗らなければいい
 ウーバーは「安全報告」を2回出しているが、2017/18 年版によれば、死亡者が出た事故が一年に50 回ほどあり、このうち歩行者や自転車運転者など第三者が犠牲となった事故が31%を占めた。2019/20 年版では、この集約にバイク運転者を加えて42%と発表している。
 死亡事故数は、2019 年=59 件、2020 年=42 件。以後の統計については、ウーバーが報告書を出していないので、不明。なお、ウーバーの統計は実車中の事故のみ。
 タクシーとの不公平競争を前提とした「便利」で「安い」ライドシェアが普及すれば、その危険性を分かっていても使う人は出てくるだろう。そうした人がライドシェア車で事故にあっても「自己責任」なのか?
 また、交通渋滞の悪化は、一般ドライバーなどにも不便・不都合をもたらす。

❌訪日観光客がタクシー不足で困っている
 この点については、詳細な報道はほとんどない。ネット上でも、訪日観光客の不満等は見受けられない。菅前首相らの発言を受けても、直後の英字報道はほとんど見られなかった。
 rideshare(またはridesharing)と Japan あるいは ridehail(またはridehailing)とJapanこうした英単語を使ってネット検索して、どのような結果が出てくるか?
 むしろ、海外からのタクシー利用者は、①ドアの開閉が自動、②運転手がチップをせびらない、③忘れ物が戻る ことなどにサービスの魅力を感じているのではないか。


❌ライドシェアは過疎地で導入すると良い
 ウーバーは自ら、「郊外や過疎地で事業を広めることが課題」だと認めている。成功例もほとんどない。郊外や過疎地の運転手は概ね、稼ぐために都市部へ遠征するのが実態。平日は、車中で寝泊まりし、週末に帰宅するような事例が後を絶たない。実際、人口密度の高いボストン、シカゴ、ロス、マイアミ、ニューヨーク、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDC での配車が全体の7割を占めている(2019 年)。また、右の表のような調査結果もある(2019 年)。


❌副業としてやればいい
 「よかったのは最初だけ」という声が世界中から聞かれる。ライドシェアと共にフードデリバリーでも実態は共通している。各社は事業を開始すると、最初は運転手(配達員)を確保するため、優遇する。しかし、一方的に労働者を増やし過当競争を生み出す一方で、手数料を引き上げる。また、個人事業主扱いなので、最低賃金や年次有給休暇の保障などはない。燃料費や保険料は自己負担。こうして85%が最低賃金以下の収入しか確保できない(ニューヨーク・2018 年)状況が各国で起きているが、会社は法的には問われない。米ウーバー運転手の勤続は平均で18 カ月。なお、シンガポールでは、本業の仕事を早朝から午後5 時まで働いた後、ライドシェアの運転を午前1 時まで半年続けていた男性が運転中に心臓発作で死亡している(2017 年)。
 「自由な働き方」をアピールする各社だが、アルゴリズムを使った労務管理で、特定の時間に設定された配車(配達)回数をこなすとボーナスが出るインセンチブなどを使い、運転手(配達員)がゲーム感覚で仕事をするように仕向ける。同時に、アルゴリズムによる労務管理は容赦なく、前述の評価制度も参考にしながら、一方的に運転手(配達員)のアカウントを停止(=解雇)する。理由を求めても会社は回答しないことが多く、車や自宅を手放すものも少なからずいる。このため、アルゴリズムの情報公開を求める裁判が欧州で起きたり、アカウント停止(解雇)に公平な基準を設ける法律をつくる動きが米国で始まっている。

❌無人自動車が普及するまでの「つなぎ」で導入すればいい
 カリフォルニア州で最近、完全無人自動車による配車サービス(ロボタクシー)が始まったが、前途は多難。「つなぎ」などと言ってライドシェアを導入したら、定着してしまう<参考資料C-⑥>。

❌タクシー産業は既得権益集団だ
 カミカゼタクシーの時代から、利用者の安全確保や事業の安定に取り組んできたハイタク労使の努力を「既得権」と称するのはいかがなものか。
 むしろ、ライドシェアが急成長した米国では、規制強化や労働者保護の動きが州や市で強まると、各社はロビイストを動員して反対し、首長に「このまちから撤退する」と脅す。これこそ立派な既得権益集団の姿ではないのか。

❌ライドシェアの市場規模は10 兆円
 結論から先に言えば、ライドシェアやフードデリバリー事業は今、曲がり角に差しかかっている。ほぼ全ての企業が株式上場を果たしたが、株価は低迷しており、各社とも赤字体質から脱却できておらず、投資家は以前ほど寛大ではない。リフトでは最高経営責任者が交代し、事業の立て直しをめざしている。ウーバーが最近初めて黒字を出したのは、「運転手から取る手数料を大幅に引き上げたから」と、同社の経営分析を長年してきたHubert Holan 氏は指摘。実際、この黒字報告を受けて、株価は下落。持続可能なやり方でないと市場は冷ややかな目を向けた。同社はまだ、配当を出していない。
 だからこそ、こうしたビジネスモデルをこの期に及んでなぜ日本で広めたいのか問うべきだ。同時に、こうした世界的な傾向があるからこそ、日本から新たな商機を感じ取るものもいるのだろう。いずれにせよ、推進論者は、ライドシェアの導入に成功したら、次は教育、医療、自治体業務、公共交通などだと言っている。「雇用によらない働き方」がライドシェアの解禁を通じて広まる危険性もある。
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