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生きる LIVING カズオ・イシグロによる脚本がとにかく素晴らしい


【🎦13 2023/4/2鑑賞】 1953年、第2次世界大戦後のイギリス・ロンドン。役所の市民課に勤めるウィリアムズ(ビル・ナイ)は、毎日同じことを繰り返し、仕事に追われる自分の人生にむなしさを感じていた。ある日、医師からがんで余命半年であることを告げられる。最期が近いことを知った彼はこれまでの味気ない人生を見つめ直し、残された日々を大切に過ごして充実した人生にしたいと決意する。やがて、彼の変化は無関心だった周囲の人々をも変えていく。

 黒澤明監督による不朽の名作『生きる』を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイク、第2次世界大戦後のイギリス・ロンドンを舞台に、仕事一筋で生きてきた男性が死期を宣告されたことで、自らの人生を見つめ直すという映画。


 黒澤明監督作品を、イギリスへ舞台を移して作られたリメイク版で、ストーリーはオリジナルとほぼ一緒のようだが、しかし驚くほど自然にイギリスの物語となっている。
時代設定をオリジナルと同時代、画角サイズも4×3のスタンダード、色彩もテクニカラーを限りなく忠実に再現するなど、1950年代クラシック映画のスタイルを彷彿させる凝り様。
1953年のロンドンの街並みも最高で、冒頭のタイトルクレジットから、舞台となる時代と場所が意識させられ、たちまちその時代のロンドンにタイムスリップしてしまう感覚だ。
そして、郊外の駅からウォータールー駅まで蒸気機関車による通勤のシーンで、完璧な「つかみ」が完成する。


 現代の感性を持ち、日本とイギリス両方の文化を理解していることが重要なのだろうが、とにかくカズオ・イシグロによる脚本が素晴らしい。
感情をほとんど表に出さず、静かに生きる「英国紳士になりたかった男」が主人公だが、言葉に頼らない好演を見せたビル・ナイは、言うまでもなく素晴らしく、余命を宣告された者の悲哀を逆に浮かび上がらせることに成功している。
本当の意味で生きるとはどういうことなのかを考えさせられたし、自分の人生のたたみ方にも思いをはせた。


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