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ザリガニの鳴くところ 地味な映画ながら最後までまったく目が離せない作品、劇場鑑賞が間に合ってよかった❗


【🎦37 2022/12/12鑑賞】 ノースカロライナ州の湿地帯で、将来有望な金持ちの青年が変死体となって発見された。犯人として疑われたのは、「ザリガニが鳴く」と言われる湿地帯で育った無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に捨てられて以来、学校へも通わずに湿地の自然から生きる術を学び、たった1人で生き抜いてきた。そんなカイアの世界に迷い込んだ心優しい青年との出会いが、彼女の運命を大きく変えることになる。カイアは法廷で、自身の半生について語り始める。

 全世界で累計1500万部を売り上げたディーリア・オーエンズの小説「ザリガニの鳴くところ」を実写化したミステリー、湿地帯でたった一人で育った少女が殺人事件の容疑者となって法廷に立ち、壮絶な半生と事件の真相が明らかになるという映画。



 軸となるのはカイアの家族に見捨てられた以降の壮絶な人生と、ラブストーリーという、意外な組合わせ、そこに変死体事件が絡むミステリー的要素が加わる。
しかし物語の展開もさることながら、原作から引用された「湿地が彼女を育てた」という言葉通り、カイアそのものでもある湿地の描写に魅了されまくるので、一つ一つのシーンに目が離せないからやっかいだ。

 鬱蒼とした樹木に囲まれた母や姉と兄と過ごしたつかの間の幸せだったときの思い出が詰まった小さな小屋、湿地のなかの濃い緑の樹木、さまざまな生態系の中に生きる動物・鳥・魚介類たち、空の色にそれを映す水面、そこに浮かぶ小舟が水面に生み出す小さな波紋。
カイアがその湿地で拾う石や貝や鳥の羽や、それらが飾られた小屋の内部、彼女がそれらを描いた画もなにもかもが美しい。
カイアがこの土地を愛し、ここを離れたくないと思うことへの説得力が半端ない。


 一方で町の人々が、彼女を異質な存在として排斥し傷つけようとするというのは、容疑者となった彼女の裁判で、アメリカ南部の人々からなる陪審員に向かって評決にどう影響するのか。
さらに混迷を極めてしまうのは、彼女のおかれた立場故に、カイアに読み書きを教えそれが彼女の世界を大きく広げていくテイトと、圧倒的な孤独の中、カイアに唯一近づいてきたチェイス、このかイアが愛した二人の男(一人は愛したとは言えないが)との絡み方が複雑であるが、しかしそれが彼女の本質を変えることはないとは言え、この二人の男の存在がこのミステリーにとってどういう伏線となるのか。
そして、カイアはいわゆる「貧困白人(ホワイト・トラッシュ)」と蔑まれる家庭に生まれたのだが、村はずれで舟の燃料店を細々と営む黒人夫婦のジャンピンとメイベル(マイケル・ハイアット、ジャンピン:スターリング・メイサー・Jr)は黒人として差別されながら、いつもカイアの味方であったというのも時代的な伏線となるから複雑だ。


 カイア役のデイジー・エドガー=ジョーンズのまったくぶれない演技、弁護士役のデヴィッド・ストラザーンのいぶし銀的演技をはじめ地味ながら的確なキャスティング、細部まで練りに練られてまったく破綻しない脚本と演出、美しすぎる映像表現によって、ラストまで伏線をしっかりと回収しつつ、一切の破綻なくエンディングに導いてくれた。
エンディングロールで流れるテイラー・スウィフト書き下ろしのテーマで余韻も完璧やったし。
危うく見逃しそうになった作品だったが、ギリギリで劇場鑑賞できてよかったわ❗
ちょっと悩んでしまうラストでもあったし、そうなると原作も是非読んでみたくなるわな。

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