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ラーゲリより愛を込めて この映画の出来映えには言及しにくいが、この映画の背景に向き合える機会を、多くの人に与えたとしたならば素晴らしい。


【🎦36 2022/12/10鑑賞】第2次世界大戦が終結した1945年。シベリアの強制収容所では、ソ連軍の捕虜となった山本幡男(二宮和也)ら多くの日本軍兵士たちが収容されていた。わずかな食料しか与えられず、零下40度という過酷な状況下で重労働を強いられる彼らに、山本は「生きる希望を捨ててはいけません。帰国の日は必ずやって来ます」と訴え続ける。山本の信念と仲間を思う行動に勇気づけられる捕虜たち。8年後、山本のもとへ妻からのはがきが届き、帰国の日は近いと感じる山本だったが、その体は病にむしばまれていた。

 辺見じゅんのノンフィクション「収容所から来た遺書」(収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫))を原作にしたドラマ、第2次世界大戦終結後、ソ連軍の捕虜として不当にシベリアの収容所に抑留された日本人・山本幡男氏の姿を描く映画。
強制収容所(ラーゲリ)内で死んだ山本幡男の遺書を、彼を慕う仲間達の驚くべき方法により厳しいソ連の監視をかいくぐって遺族に届けられたという実話に基いて描かれた作品。
テレビドラマとしては、1993年に終戦48年特別企画として放送されたそうで、そのドラマでは寺尾聰が山本幡男を演じたそうだ。(これ、大切)


 ラーゲリ(露: Лагерь)とは、ソビエト連邦における強制収容所を指すが、本来はキャンプを意味するロシア語の単語であり、夏休みの子供キャンプ、合宿、宿泊施設も意味するそうだ。
しかし、党により反革命罪等の体制に対する罪を犯したと判断された政治犯や重罪を犯した者、また敵国の捕虜等を主に収容し、恐怖や猜疑心、疲労によって支配された過酷な環境下に置くことにより、体制への恭順な態度を導き出す手段として使用されたのが、この映画のラーゲリであり、収容者は無償の労働力としても利用されたらしく、特にスターリン体制下では家族ごと収容されることが多く、また収容所内での出産率も高かったため乳幼児の収容者も多かったそうだ。

 その上で、この映画の題材となったように、第二次世界大戦時の日本人捕虜も多くがシベリアなどの収容所に抑留され、強制労働に従事させられた(シベリア抑留)。
日本人のほか、200万ともそれ以上とも言われるドイツ軍捕虜、枢軸国であったイタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランド、大戦初期に併合されたバルト三国・ポーランド東部からも多数の捕虜や政治犯が収容所に送り込まれ、過酷な強制労働に従事させられた。
これはソビエト連邦による、国際法にもポツダム宣言にも違反した重大な人権侵害であり、大規模かつ組織的な拉致事件だった。
現在のウクライナ侵攻もやはり国際法違反であり、国際法を守らないのは今のプーチンもソ連時代と同じであって、絶対に許されないことだということを、この映画を観つつ思い知る。


 この映画の中で、思想を洗脳する当時のソビエトの動きが、ちらっと出てきた。
「反ソ(ソビエト連邦またはソ連の政府権力に対して反発する思想・運動、ソ連におけるスターリン批判、コミンフォルム解散を受け、ポーランドのポズナニの民衆暴動から始まった)・反共(anti-communism 共産主義,共産党,社会主義諸国などを憎悪,敵視する思想や運動の総称)・反動(Reactionary 一切の改革や革新に反対する姿勢、行動のこと。左翼勢力が右翼勢力をさして批判的文脈で用いる)」がスローガンとして出てきたし、赤旗の歌が歌われていた。(初めて聞いた)
中国共産主義であったり、ソビエト的社会主義であったり、統治者が様々に独裁的に国民や民衆を洗脳して統治していく社会はかなり怖いとは思うが、現在の、国民の半数以上の人が選挙にも行かないし、そのために消極的に任せた政治の結果である今の自民党政治を、批判もせずに唯唯諾諾と受け入れてしまっている日本国民の感覚もほんとうに怖い。
そんなことまで感じてしまったが、製作者はまさかそこまでこの映画で狙ってはいないだろうと思っておこう。

 この映画を観た友人が「原作を読んでこの映画を観たら二宮和也やその脇の役者が若すぎる印象だ」って言ったが、いやいや、当時の日本兵って、徴兵制で送り込んだ大人をほとんど戦場で殺してしまっていて、1945年の日本敗戦の頃は、兵隊が足らんからほとんど十代が戦場に送り込まれていて、当時の国のリーダー達のために、「お父様、お母様」って遺書を残して「特攻隊」で無駄に戦場で命を散らしていったり、食料や兵器の補給線もないままにアジア各地で無駄死にさせられたり、この映画のように国に見捨てられたままにソビエトで抑留されたりしたのだから、自分的には逆に今回の役者たちはキャスティング的に歳を取りすぎている印象だと話した。

 この映画の出来映えに関しては、自分はどうして言及できるだろうか…。
いい映画であると思うし、一方で、綺麗に描きすぎている気もするが、脚本・演出・キャステキング・演技なども含めて総合的には映像化は難しかったものを頑張った。
評価は分かれるとは思うが、この映画の背景である史実に向き合える機会を、多くの人に与えたとしたのなら、この映画は良かったのだろう。


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