東京難民 「日常」が「崩壊」するってことはけっして他人事では無いが。


【12】 堕落した大学生活を送ってきた時枝修(中村蒼)は、生活費を工面してくれた父親が借金を抱えて行方をくらまし、授業料未納によって大学を除籍される。家賃も払えずアパートを追い出された彼は、ネットカフェで宿泊しながら日払いのアルバイトで過ごしていた。さらにはホストクラブで働くはめになり、ついにはホームレスになってしまう。

 「格差社会のゆがみの中でもがく若者たちのリアルな姿を、真正面からとらえた衝撃作」というふれ込みだが、しかしネットカフェ難民や格差社会や、もっと言えば今の世相を、しっかりと掘り下げたという映画では無い、監督の思いは何処にあったか別として。
なんせ、さらっと見てしまうと、ホストクラブの裏の世界を描いていると言ってもいいような映画なのだから。
しかし、じゃあそのふれ込みはどうなんだ?


 しかし監督はあるインタビューで「いつの間に日本がこんな夢が語れない世の中になったのだろうと思うようになった。」というところから、「『今の日本はこういう国なんだよ』ということを伝えるということにあるならば、エンターテインメントとしてやれそうな気がした」と語っているので、きっとそこなんだろう。


 大塚千弘演じる素朴な感じの看護師北条茜が、徐々にホストにハマって綺麗になって、そしてカードのキャッシングやホストクラブのツケの支払いに困って最後にはソープ嬢になる、そんな彼女を描くために大塚千弘のかなり思い切ったであろうヌードと濃厚なベッドシーンがある。
そんなシーンの必要性がとっても疑問だったが、この映画がR15指定となっていることを知って、もしかしたらこの映画の製作者は、これから夢を持って生きてくれないと困る中学生以下の子ども達がうっかりこの映画を観てしまって、将来を余計に悲観させないために、大塚千弘の裸をもってR15指定にしたのかなと余計な勘繰りを持った。

 この映画のように「日常」が「崩壊」するってことはけっして他人事では無い。
倒産や経営状況の悪化による就労状況の変化、家庭環境の変化、そして病気などで、誰にも日常が崩壊する可能性はある。
それを乗り越えられなくて、それを回避出来なくて、それに備えが出来ていないことは、自己責任と言えばそうなのだけど、一度落ちこむと再チャレンジがしにくい社会の中では、この映画の背景的なものについては現実味があり、自分が仕事としていることから考えると、いたたまれない。

 救いようのない物語だったけど、なんとなく最後に希望が見えるような映画となっていた、だから自分はなんとか、最後の最後でちょっと一息つけた。
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