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スリー・ビルボード たいへんな問題作であり、傑作ではあるが、しかし自分としては、受け入れがたい、とてつもなく後味が悪い作品であった…


【5】 ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。

 娘を殺害された母親が警察を批判する看板を設置したことから、予期せぬ事件が起こるクライムサスペンス、本作はベネチア国際映画祭で脚本賞、トロント国際映画祭で観客賞に輝いたという映画。
英題は「THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI」、billboardというのが「屋外広告のための,直立した板状の構造物。広告掲示板。」だということを初めて知った、なんせ米国最大の音楽週刊誌でありレコードの人気チャートで有名なBILLBOARD誌が、小学生の頃から知識にすり込まれてきたもんで。


 「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」という3枚の立て看板に描かれたメッセージ唐物語りが始まる。
ミズーリ州の田舎町に出現する赤い看板が発火点となり、地獄の業火が燃え上がる。
悪意が悪意を呼ぶ構図、しかしこの映画では善悪に色分けはせずに、そこに緊張感をみなぎらせ、ふくらみのある人間ドラマを描くとう手法で、そこにブラックユーモアを散りばめた演出が、とにかく素晴らしい。


 脚本も見事で、さまざまなキャラクターの激情が物語を動かす人物描写に加え、展開も絶妙。
ハレルソン扮する署長を、負の連鎖に放り込んで鎮静化の可能性を見定めるのだと、観ていてその理屈は解るのだけど、そんな安易な感情移入を拒む脚本は、しかし物語は一筋縄ではいかず、不確かで複雑怪奇な人間の本性を見事に捉えていく。
主人公の過激な行動についつい目を奪われがちだが、そもそも主人公の、その死んだ娘の事件を解決するための過激な行動も、娘への愛情のみから発したものではないってのは、どこまで観る者を試すのかと、憤る。

 しかし、特殊な個人の物語ではなく、実はそれぞれに問題を抱えた人間たちの群像劇としても、「許す」ことについて考えさせようとしているのは、あまりにも傲慢すぎないか。
たいへんな問題作であり、傑作ではあるが、しかし自分としては、受け入れがたい、とてつもなく後味が悪い作品であった…。

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