ハクソー・リッジ 主人公のバックボーンが丁寧に積み重ねられていて、説得力が確か


【24うち試写会1】鳥取での会議を終えて東京に戻ってきた。
遅刻してでも顔出したい会議があって一番の飛行機で米子から帰ってきたけど、微妙に到着遅れて間に合わず(T_T)

 第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され……。

 メル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作、第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描くという映画。

 一般住民を巻き込み、20万あまりの尊い命と財産や、沖縄の文化財、自然がことごとく奪われた沖縄戦、太平洋戦争で、唯一、日本国内の一般住民が地上戦を体験した沖縄戦。
沖縄戦における20万人を越す戦死者のうち、約半数に近い、じつに9万4000人余りの戦死者が、兵隊以外の一般県民や子供。
この沖縄戦で、沖縄防衛第三十二軍司令官牛島満中将と同参謀長の長勇中将が糸満の摩文仁で自決した日が昭和20年6月23日の未明とされていて、そしてこの日を、日本軍の組織的戦闘が終結した節目としてとらえ、沖縄慰霊の日が制定された。

 その沖縄慰霊の日の翌々日に鑑賞したこの映画の題材になったのは「前田高地の戦闘」、首里軍司令部から北東に約4キロ、標高約120~140メートルの、現在の沖縄県浦添市にある「前田高地」は第2防衛線主陣地帯の核心で、首里地区防衛においてことさら重要な地区だった。
米軍にとってもこのエリアを奪取することが、首里攻略ひいては日本本土進攻への第一歩として位置づけられていた。
そのため、昭和20年(1945)4月26日からおよそ15日間に渡り激しい戦闘が繰り広げられ、日本軍計3000人あまりの犠牲者を出した後、米軍によって攻略された。
長期戦の背景にあったのはその独特な地形で、石柱のような「為朝岩」(米軍名「ニードルロック」)が象徴的にそびえ立つ、歩兵部隊でさえ縄ばしごを必要とするほどの絶壁である北斜面(米軍名「ハクソーリッジ(弓鋸の稜線)」)がこの映画のタイトルとなっている。


 白兵戦の容赦なき凄惨な描写が熾烈で、何度も目をそらし、何度も悲鳴が思わず口をつき、何度も心臓が縮み上がってしまった。
2時間19分の上映時間のうち、戦闘シーンに長い時間が割かれているが、永遠とも感じられる緊張感、しかしだらけることはない、でもくたくたに疲れてしまう。

 良心的兵役拒否という言葉を、この映画で初めて知った。
良心的兵役拒否(conscientious objection)とは、国家組織の暴力装置、とりわけあらゆる形態ないしは特定の状況下の戦争に参加することや義務兵役されることを望まないことを言い、 当人の良心に基づく信念であり、拒否した者を良心的兵役拒否者というそうだ。
第二次世界大戦時のアメリカでは1万人以上の良心的兵役拒否者が他の代替業務に従事したらしいが、当時の日本でなら、非国民として非道い目に当然遭うだろうから、この辺はアメリカって懐が深いと感じる。


 ドラマは、前半で主人公の幼少期や家族関係、テリーサ・パーマー演じるドロシーとの出会い 武器を持たないと誓ったエピソード、衛生兵になるまでの試練などを丹念に描き、主人公のバックボーンが丁寧に積み重ねられていて、説得力が確かなものとなっていた。
しかし戦闘シーンの熾烈さに相まって、祖国を死守しようとした沖縄の日本兵の描き方が、デズモンドの行為の崇高さを際立たせる手段とされていた点が、日本人としては辛い。

 「二度と過ちを繰り返すまい」、戦争放棄を謳う憲法を有するわが国の精神、それを主人公を通じて見た思いがした映画だった。
「沈黙」に続き、日本を舞台に強い信仰心を持った青年役を演じたアンドリュー・ガーフィールドの熱演が際立っていた。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

hisapsurfrider

Author:hisapsurfrider

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
かうんたー
検索フォーム
QRコード
QR